中に吉祥文様をちりばめた雪輪と、
くす玉の糸のような五色の糸を一面に散らした
アムンゼン風綿生地の振袖です。

銘「雪姫」はもちろん
義太夫狂言「金閣寺」のヒロイン。
歌舞伎のお姫様はだいたい
「赤姫」という
緋色の地に刺繍などで花柄を散らした
たいへん華やかな衣裳をつけており、
この生地の雰囲気が
ちょっと似ているところから
名づけました。

もっともお芝居の雪姫の衣裳は
赤ではなく鴇色(ときいろ。ピンクです)
なのですけれども…。
今回のコーディネートは
銘にちなんで「金閣寺」を
ふまえたものにしてみました。
まず、帯には桜。
敵に捕らえられた雪姫が
桜の木に縛りつけられたところから。

お姫様風に振り下げ帯なので
着物もお引きずりに着ています。

つまみ細工の髪飾りも桜です。
陽炎座製。
長襦袢と半襟は桜色、
その他の小物は八掛にあわせて
水色で揃えました。
髪飾りの房も同色で。

赤と水色の取りあわせは
とても好きな配色のひとつです。
そして帯留は鼠です。
今回のために用意しました。
もちろん、こちらも陽炎座製。

鼠を選んだのはなぜかというと、
雪姫はかの雪舟の孫、という設定で、
囚われた姫が
地面に散った桜の花を足先でかき集め、鼠を描くと、
その鼠が実体化して縄を食いちぎり雪姫を救う…
というくだりがお芝居の見せ場に
なっているからです。

舞台に出てくる鼠は、もちろん作り物です。
細い棒(差し金といいます)の先についているのを
黒衣(くろご)が操るのですが、
これがなんともラブリー☆
お芝居に出てくる動物はどれも
妙に愛嬌があって可愛いですね。
五段目の猪とか、あ、「平家蟹」なんかも
コワ可愛くて大好きです。

ライラが着たときのコーディネート。
八掛と同系色の青磁色の帯に
雪の結晶の帯留をつけています。




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