色紙文様を散らした紋縮緬に
金と赤で孔雀の羽根を描いた
ヴィンテージの着物から、
緋扇亭さまに仕立てていただきました。

パヴァーヌとは
いにしえのヨーロッパで流行した
舞曲の一形式。
孔雀の歩みに似た荘重な曲調から
その名がついたといわれています。
高畠華宵の絵に描かれるソシアルダンスの場面
いつもきまって女性同士です。
「エス」の雰囲気ただよう
華宵ごのみの麗人のイメージで
コーディネートしました。


帯は
金糸で孔雀と牡丹を織りだしたもの。
色もモチーフも汎用性が高いので、
一本の帯から
お太鼓・振り下げ・文庫の三種類の
作り帯を作ってあります。
今日はお太鼓を選びました。

陽炎座製の孔雀の羽根の帯留。

 レースの半襟も
孔雀のような、ひらいた扇のような
連続モチーフになっています。

孔雀づくしのコーディネートですが
何もかも、というのはやりすぎなので
帯揚・帯締には
孔雀の色だけを引きました。
髪飾りにはほんものの孔雀の羽根を。
サイレント時代のハリウッドのヴァンプ(妖婦)、
たとえば「サロメ」のアラ・ナジモヴァなど
イメージして。


今回はパーティーの衣裳ということで
バッグもコーディネートしました。
六年前のお正月にもらったものです。
カクテルも孔雀色。

三島の小説で、
ヒロインが娘時代に
カクテルを選ぶときはドレスの色にあわせるよう
父から指南された、というくだりが
ありました。

そのとき飲みたいものを飲む、
ではだめなのですね。
今のようになにもかもが
「なんでもあり」ではなかった時代のお行儀、
ゆかしいことです。
こちらは2006年のお正月の記念撮影。
MSDサイズも同時に仕立てていただいたのです。



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